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パンを評価するために人が口にする言葉は、

大きく4つに分けられます。


「おいしい」、


「まずくない」、


「おいしくない」、


「まずい」。


「まずくない」パンを作れさえすれば、

あとは売るためのノウハウで商売は成立する、と言われる時代になりました。


でも、

作り手の心情としてはそんなわけにはいかないものです。


パン屋(独立でき得るパン職人)を志してこの仕事を始める人間のすべてが、

「おいしい」パンを作れるようになりたいと思うのは、当然です。

しかし

このご時世、

企業にも経営者にもあまり余裕がなくて、

そういったことのための試行錯誤の余地を許容できなくなってきています。


「余計なことはするな。」

「言われたことだけやれ。」


出るクギは打たれます。


でもね、


出過ぎれば誰も手出しはしなくなるんです。


志を保ったまま、手段を誤らずに早く力を付ければいい。


以前、

競輪選手の話を聞いたことがあります。

平均年収が最も高い、日本のプロスポーツです。


ポルシェに乗ることが目標のヤツと、

日本一になることが目標のヤツとでは

自ずからあらゆることに差ができてくる。

志が大きいほど大きな存在に成れるというのです。


私ですか?


ずっと私も日本一美味しいパンを作れるようになりたいと思って仕事をしてきました。

ただ時と共に、


「おいしい」


という抽象的な 言葉の中で、自分の目指す場所が明瞭になってきたのです。


自分にとって最高の美味しさって?


人それぞれでしょう。

私にはそれが、


「思わずほっとする美味しさ」


「気持ちがあたたかくなる美味しさ」


だと思えるようになりました。


ここ2、3年、

少しずつ形にできるようになった気がしています。


コツはあります。


でも、


それはナイショ。 


ぱん衛門